独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「また連絡する」
廊下を進んでリビング入ると、樹さんが通話を切った。
「……綾香からだった」
「えっ?」
なんで、こんなときに……。
急な呼び出しじゃなかったのはよかったけれど、タイミングが悪すぎると思わずにはいられなかった。
「悠太君の手術、来月に決まったんだ。そのことで……。ごめん」
「……」
樹さんはなにも悪くないと理解していても、謝りの言葉を受け入れることができなかった。
「……華」
黙ったままでいる私の頬に、温かい手が触れる。けれど、その大きな手で綾香さんにも触れたと思うと、心穏やかではいられない。
過去に嫉妬してしまう自分が嫌……。
「ごめんなさい。今日はこれで帰ります」
樹さんを拒否してしまったことが後ろめたくて、足を一歩後退させるとうつむいた。
「……うん。俺のほうこそ、ごめん。送るよ」
「……はい」
今日は、忘れられない日になるはずだったのに……。
ふたりの大事な時間を元カノに邪魔されたという思いを抱きながら、玄関に向かう樹さんの後をついていった。