独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
遠くから小さな物音が聞こえてくる。耳を澄ますと、それがなんの音なのかわかった。
「……電話……ですね」
「……」
私より先に着信音に気がついたはずなのに、黙ったまま動こうとしない。
「早く出ないと……」
病院からの呼び出しだったらと思うと、いても立ってもいられなかった。
「……ごめん」
「いいえ」
樹さんが大きなため息をついて、覆い被さっていた体を起こす。そして苛立ったように髪をクシャリと掻き上げ、寝室から出ていった。
ひとりになると、熱を帯びた体と頭が冷えてくる。
すごい、格好……。
めくれ上がったままのシャツを下ろし、上半身を起こそうとした。しかし思うように体に力が入らない。
「……はぁ」
何度も深いくちづけを交わし、舌と唇で首筋と耳たぶ攻められ、そして胸に触れられたなまめかしい感触がよみがえり、思わず気だるいため息がこぼれてしまった。
でも誰がどんな用で連絡してきたのか気になるし、いつまでもだらしない姿でいたくない。
ゆっくりと体を起こしてブラジャーのフォックを留めると、乱れた髪を整え、服のシワを伸ばした。
よし、もう大丈夫。
ベッドから立ち上がり、寝室を出た。