独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
綾香さんから連絡があった後から、何度も『ごめん』と言わせてしまったことが心苦しい。
いつまでも元カノのことを気にしていてはダメだ。
「いいえ。お仕事がんばってください」
気持ちを切り替えて微笑む。
「うん。がんばるよ」
樹さんにも笑顔が戻り、穏やかな雰囲気が車内に広がった。
それにしても、しばらく会えないのか……。
仕事だから仕方ないとわかっていても、寂しさが込み上げてくるのを止められない。
帰るなんて言わなければよかった……。
今になって後悔していると、赤信号で車が止まった。
「今度は途中でやめるつもりはないから覚悟しておいて」
ハンドルから離れた手が、私の手の上に重なり力がこもる。
普段は冷静な彼が、強引な言い方をするのは珍しい。
有無を言わさない迫力に心臓がドキッと跳ね上がった。
押しが強い樹さんも素敵だな……。
「……はい」
熱を帯びた瞳を見つめながら、コクリとうなずいた。