独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「さ、先に行ってください!」
今は私のことより、悠太君のことを最優先させなければならない。
「うん。そうさせてもらうよ。転ばないように、気をつけるんだよ」
「はい」
こんなときまで私を心配してくれる優しさをうれしく思いつつ、白衣の裾をひるがえして走っていく樹さんの後を追った。
樹さんに遅れること、数分。ようやく公園に着くと、手を繋いでいる樹さんと悠太君の姿が目に飛び込んできた。
「悠太君!」
焦りと不安と緊張が入り混じった感情が、一瞬でほぐれていく。
ふたりのもとに駆け寄ると地面に膝をついて、悠太君を力いっぱい抱きしめた。
「滑り台のトンネルの中にいたんだ」
「そうですか。無事でよかった……」
「病院に連絡するから、悠太君のこと頼んでもいい?」
安心したせいで涙腺が緩み、涙が込み上げてきてしまった。けれど今は喜びに浸っている場合じゃない。
「はい。もちろんです」
「ありがとう」
気を引きしめると、目尻にジワリと浮かんだ涙を急いで拭った。
ずっと外にいたせいで、悠太君の体は冷えてしまっている。
急いでジャケットを脱ぎ、小さな肩にかけた。