独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「僕……手術が怖くて……」
今まで黙っていた悠太君の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。
ひとりで不安を抱え込んでいたのかと思うと、どうしようもなく胸が痛んだ。
「怖いよね。でも樹先生は今まで何人もの患者さんの手術をした、すごいお医者さまなんだよ。だから悠太君の病気も樹先生がきちんと治してくれるから安心して。ね?」
悠太君がコクリとうなずく。
わかってくれて、よかった……。
胸をなで下ろしながらバッグからハンカチを出し、頬に伝う涙をそっと拭った。けれど悠太君の表情は曇ったままだ。
「……ママ、怒ってない?」
手術が怖くて病院を抜け出したのに、今はママのことが気になるようだ。
「大丈夫だよ。でも心配かけたことはきちんと謝ろうね」
「……うん」
返事が遅れたのは、きっと気が進まないからだろう。
「大丈夫。お姉ちゃんも一緒に謝ってあげる」
「本当?」
「うん。本当だよ」
励ますように両手をキュッと握ると、悠太君がニコリと笑った。
やっぱり悠太君には笑顔が似合う……。
つられるように笑うと、悠太君の頭に大きな手がポンとのった。