独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする

黙り込んでしまった綾香さんの前で、悠太君に声をかけた。

「ママに謝ろうか」

「うん。ママ、ごめんなさい」

約束通り、三人で頭を下げる。

「ちょっと、樹も華さんもやめてよ……」

綾香さんの戸惑う声を聞き、顔を上げた。

「ママのほうこそ、悠太が手術を怖がっていることに気づけなくてごめんね」

綾香さんが悠太君を、再びギュッと抱きしめる。

親子が抱き合う姿は何度見ても感動的で、視界がユラユラと揺れてしまった。

本当によかった……。

瞳からこぼれ落ちた涙を静かに拭った。

「華さん、ありがとう」

「いいえ」

思いがけずお礼を言われ、慌てて首を左右に振る。

「それから樹もありがとう。感謝してる」

「俺はたいしたことしてないよ」

「そんなことないわ」

謙遜する樹さんを見て、綾香さんがフフッと笑った。

美男美女のふたりが見つめ合う姿はとても絵になる。けれど仲睦まじい様子を見せつけられたら、冷静ではいられなかった。

樹さんに微笑みかけないで……。

心の中で嫉妬の嵐が荒れ狂う。

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