独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
仕事が終わると悠太君の病室に通うのが日課となってから、一週間が経った。
「悠太君、一日早いけど退院おめでとう」
手術後の経過もよく、明日の午前中に退院する悠太君に手造りクッキーを手渡した。
「ありがとう!」
「どういたしまして」
悠太君の弾ける笑顔を見たら、がんばって作ってよかったと心から思った。けれど折角仲良くなったのに、もう会えないなんて寂しすぎる。
「見送りに行けなくてごめんね」
明日は平日で仕事がある。
楽しくおしゃべりをするのも今日が最後だと気を落としていると、綾香さんに肩をポンと叩かれた。
「金沢に来たときは声かけてね」
彼女とはいろいろとあったけれど、今ではすっかり打ち解けた。この先も機会が合えばまた会いたい。
「はい。必ず」
私が動物園を案内したように、今度は綾香さんと悠太君に金沢を案内してもらおう。
そう思いながら、また会う約束を交わした。