独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
季節は流れ、迎えたバレンタインデー。
仕事を終えて帰宅した樹さんを出迎え、ふたりでリビングに移動するとすぐに、リボンがかかった箱を差し出した。
「私の気持ちです」
「これって……」
「本命チョコです!」
樹さんの言葉を遮り、思いを伝える。
悪夢のバレンタインのリベンジを果たすべく、昨日は二時間かけてトリュフチョコを作った。
今度こそ、受け取ってくれるよね?
ドキドキと胸を高ぶらせていると、綺麗な指先が箱に触れた。
「ありがとう。うれしいよ」
樹さんがニコリと微笑んでチョコを受け取ってくれた。けれど『おいしい』と言ってくれるまで、油断はできない。
スルリとリボンが解けて蓋が開き、彼の口にチョコが入る様子をじっと見つめた。