独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
金沢駅に到着した新幹線から降りて改札を出た。
今日の金沢の天気は雲ひとつない快晴。ジリジリと照りつける太陽の日差しを受けつつ、駅のシンボルでもある鼓門を横目にタクシーに乗り込んだ。
樹先生が実家の住所を伝えると、タクシーが静かに発進する。
遠くに金沢城が見える風情ある城下町を物珍しげに眺めていると、タクシーが赤信号で止まった。目の前の交差点を、自転車に乗った学生が通っていく。
この街で生まれ育った樹先生は、どのような学生時代を過ごしたのかな……。
私が知らない過去が気になってしまった。
「樹先生の高校の制服って学ラン? それともブレザー?」
「急にどうしたの?」
樹先生の目が丸くなる。
「あの子たちを見たら、どうだったのかな~、って思ったから」
交差点を渡る学生を指差すと、樹先生が納得したようにうなずいた。
「ああ、そういうこと。ブレザーだったよ」
今の樹先生は大人の色気があって素敵だけど、ブレザーの制服を着た姿も絶対カッコよかったはずだ。
「色は?」
「紺」
「ネクタイは?」
「青のストライプ」
立て続けの質問がおもしろかったみたいだ。樹先生が二重の瞳を細めてプッと吹き出した。
信号が青になり、タクシーが再び走り出す。
私と出会う前のことが、もっと知りたい。
「部活は?」
「テニス部。華はテニスしたことある?」
「体育の授業で少しだけ」