独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「加藤君、西野さんにこう言われたらしいよ。華はもうすぐ眠くなるはずだから、ホテルに連れ込むなら今がチャンスだってね」
「えっ……」
樹先生の口から出た衝撃的な言葉に、耳を疑った。
私を危険にさらすようなことを西野さんが言うわけない。そう思ったものの、数メートル離れた場所に移動して話をするふたりの姿を目撃している。
もしかしたら、あのとき……。でも、まさか……。
西野さんを信じたい気持ちと信じられない気持ちが頭の中でグルグルと渦を巻いて、考えがまとまらない。
「西野さんに恨まれる原因に心あたりはある?」
動揺している私の両肩に、大きな手がのった。
原因は、樹先生のことしかない。けれど西野さんの密かな恋心を、私が勝手に暴露するわけにはいかない。
「ちょっとケンカして……」
嘘をついているわけじゃないのに後ろめたさを感じてしまい、樹先生の顔を真っ直ぐ見られなかった。
「ちょっとのケンカで薬を盛られるわけないだろ。アルコールと睡眠導入剤を一緒に服用することがどんなに危険なことか、薬剤師ならわかるよな? 加藤君が常識のある人だったからよかったものの、ヘタしたら意識のない間に乱暴されていたかもしれないんだぞ」
寝室に大きな声が響き渡る。