独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする

普段は冷静な彼が声をあげる姿を見るのは初めてで、思わず肩がビクリと跳ね上がってしまった。

「ご、ごめんなさい」

小さな声で謝ると、両肩にのっていた手が静かに離れていった。

「いや、俺のほうこそごめん。華に怒ってるわけじゃないんだ。責めるようなことを言ってすまなかった」

「い、いいえ」

樹先生が苛立ったようにクシャリと髪を掻き上げる。

こうして向き合っていられるのは、運がよかっただけなんだ……。

一歩間違えば大変な事態になっていたかもしれないと思うと改めて恐怖を感じてしまい、再び涙が込み上げてきた。

「大丈夫だ。華のことは俺が守る。どんな手段を使っても……」

樹先生がひとり言のようにつぶやき、瞳からあふれ出た(しずく)を指で優しく拭ってくれた。

「とにかく華が無事でよかった。加藤君にも改めてお礼をしないとな」

「……は、い」

声を詰まらせながらコクリとうなずいた。

思いやりにあふれた言葉と、指先の温もりが心地よくて、強張っていた心と体がゆっくりと解れていった。

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