独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
きっと、着信音で起きたと思ってるんだ。寝坊助だと思われたかな……。
樹先生が絡むと、どんな些細なことも気になってしまうから困る。
『調子はどう?』
「大丈夫です」
『それを聞いて安心した。でも、しばらくの間、ひとりで行動するのは避けること。なにかあったら加藤君に頼ること。いいね?』
「はい。わかりました」
『本当は俺がそばにいられればいいんだけど……。ごめん』
休み明けの外来診察は、目が回るほどの忙しさに見舞われるのを知っている。
わざわざ連絡をくれただけでも充分なのに、ごめんと言われては心苦しい。
「謝らないでください! 私は大丈夫ですから。樹先生もお仕事がんばってくださいね」
『うん。がんばるよ』
樹先生の爽やかな声を聞いたら、重く感じていた体と心が嘘のように軽くなった。
『じゃあ、そろそろ家を出るよ。いってきます』
「い、いってらっしゃい」
スマホ越しでも、このやり取りは照れる。でもうれしい。
ああ、朝から幸せ……。
起こしていた上半身をパタンと倒すと、まだ耳に残っている低くて優しい声に悶絶した。