正しい恋を教えてください。
古海は最初に面接があった。




「どうぞー」




「失礼します」




「今までこんなこと無かったですよ。自己PRと志望動機。強くなりたいから。少しでも自分に夢を持ちたいから。なんてねー」




「事実を書いた迄です。本当に、自分には何も無いと思っています。だから、このような形でも、自分に自身という形を残したくて。」




審査の方は、顔色ひとつ変えずに聞いていた。




その圧が古海にのしかかる。




誰もがその顔を見て、失敗したと思うだろう。




だが、それに対抗するように古海も顔色ひとつ変えずに真剣な顔だった。




少しの間が空いた後だった。




やっと口を開いた審査員は、




「そうか。わかった。じゃあ、次は演技の方に行ってもらうから、外で待ってて。」




古海は、一礼した後その場から離れた。
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