同期のあいつ
「トリック・オア・トリート(お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ)」

子供達が口々に言い、お菓子をもらっていく。
どの子達も思い思いの仮装をしていて、見ているだけでとってもかわいい。
私だって早くに結婚していれば、こんなかわいい子供がいてもおかしくないのよね。

「ねえ、お姉ちゃん」
「えっ?」
考え事をしているときに声を掛けられ、驚いてしまった。

「ごめん、どうしたの?」
目の前にいたのは10歳くらいの男の子。

「お菓子をちょうだい」
「ああ、うん」

えっと、バスケットは・・・きっと入院中の子だと思うんだけれど、バスケットが見えない。

「ねえ、バスケットは?」
「病室においてきちゃった」
「でも、シールを確認しないと・・・」
「大丈夫。そのクッキーをちょうだい」

えー、でも。
もし間違ってあげたら大変だし。

「バスケットを持ってきて」
「えー、病室まで戻るの面倒くさいし」
不満そうに頬を膨らませる。

困ったなあ。

「ねえ、ちょうだいよ。俺、大丈夫だから」
「でも・・・」

確かに元気そうには見えるんだけれど。

「早くっ」

そうしているうちに他の子供達も集まりだした。

「トリック・オア・トリート」
言いながら手を出され、慌ただしくお菓子を渡していった。

いつの間にか男の子はいなくなっていた。

白川さんが言うように、入院中の子供には保護者か看護師がついていた。
でも、あの子は1人だった。
不安だな。ずっとその思いが消えてくれない。。

しかし、このイヤな予感は的中することになる。
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