同期のあいつ
「.ふーん、美味しい」

大きな口を開けてハンバーガーをほおばる。
きっと、白川さんの前ではこんなふうにハンバーガーを食べることはできない。
高田の前だからだよね。

「おいっ」
「ん?」

「ここ、ケチャップついてる」

口元に指をあて、指摘された。

ああ、ホントだ。

紙ナプキンで拭きながら、どれだけ警戒心がないんだろうと呆れてしまう。

「DVDどれから見る?」

うーん。
借りてきたのは話題の新作映画と、海外の連続ドラマ、高田リクエストのアクションものと、私の希望した切ない恋愛もの。

「まずは話題作から?」
「そうだな」

リビングのテーブルの上にチョコやスナック菓子を広げ、ソファーを背にクッションをいくつか並べた。

「始めるぞ」
「うん」

広くて立派な部屋に置いてあるテレビもまた期待を裏切らない大きさで、画質も最高。
映画館に行かなくて良かったと本気で思った。

「飲み物持ってくる?」
「いいよ。お昼のドリンクがまだ残っているから」
「そうか」

テレビに向かいソファーを背に座った私の横に、高田が座り込む。

距離が近くて緊張してしまうのは私だけ?

「眠たくなったら寝ていいぞ」
「寝ないわよ」
もう、馬鹿にして。

選んだ映画はSFもので、結構アクションシーンもあり目が離せなかった。

ああー。
うわー。
時々声を上げ、体を動かすと、当然高田にぶつかってしまう。
そのたびにドキドキして・・・ホント、私達って変な関係。

「そろそろカレー作るか?」

そう声がかかったのはSF映画を見終わり、海外ドラマのシリーズものを3話ほど見終わったときだった。

「そうね、用意するわ」
「手伝うよ」
「うん」
カレーは約束通り、市販のルーを使ったオーソドックスなもの。
具材も、ジャガイモ、にんじん、タマネギと豚肉。

「豚肉のカレーって家では出なかったなあ」
「うちも。意味もなく高そうな和牛の角切りを使ってあって、カレーにはもったいないよって思っていた」
「ふーん」

私が野菜と肉を炒め、高田がご飯を炊き、あっという間にできあがっていく夕食。
その時間がとても幸せだった。

「食うか?」
「うん」

2人で作ったカレーはやはり美味しかった。
高田はおかわりまでしてくれて、作った私としてはいい気分。
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