となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
「私、そろそろ帰るわね」

 堀野さんがカバンを手にした。


「ええー。もう帰るんですか?」


「うん。彼がね。遅くなると心配するのよ。近くまで迎えに来ているみたい。」


 時計を見ると、十時を指している。男の人にしてみれば心配な時間なのだろうか?
 一也も、心配して迎えに来てくれたのだろうか?


一也が座るテーブルを見ると、姿勢を崩す事なくなく水割りのグラスを口に運ぶ姿があった。決して崩れる事の無い表情の奥に、疲れている事を感じさせるものがあった。もし、私を迎えに来たのなら、早く帰って休んで欲しい……


 どうしよう……


 一也が遠い……



「じゃあね」

 堀野さんが立ち上がると、私も立ち上がった。


「私も帰る!」


「えっ?」

 みんなの視線が一斉に私に向けられた。


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