となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
 すると、肩をぎゅっと引き寄せられたかと思うと、唇になにかが触れた。そのまま、時間が止まった。広瀬さんの唇が重なっていた。
 胸がドキドキして、ことの事態をうまく処理できない。


 すっと、唇が離れると、広瀬さんは私の頭を撫でながら私の目を合わせるように見下ろした。


「この部屋は、友里の部屋だ。友里の好きなようにしていい」


「えっ。私、ずっと居るって事ですか?」



「ああ。勿論。今まで住んでた部屋は、俺のほうで引き払っておくから。もう、近づくな」


「ちょ、ちょっと…… 荷物はどうするんですか?」



「全部処分するする。だから言っただろ、大事なものだけ持って来いって」


「そんなあー」


「あきらめろ。心配するな。明日、一緒に必要なもの買いに行こう!」

 広瀬さんは、嬉しそうに言うと、もう一度キスをした。


 ああ…… 荷物はあきらめるしか無さそうだ……


 でも、不思議とそれほどショックをうけなかった。
 広瀬さんと、一緒にいられる事が嬉しいと思ってしまったからかもしれない……


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