となりに座らないで！～優しいバレンタイン～

　玄関に、彼女の靴がある事にほっと胸をなでおろす。

　靴を脱いで、急いでリビングに向かおうとした時、リビングのドアが開き、パタパタと足音が俺に近づいてきた。


　「おかえりなさい」


　俺は、空耳かと思いながら顔を上げた。

　そこには、エプロンをした友里が笑顔で俺を出迎えたいた。


　俺は、思ってもいなかった状況に、思考が動かない。俺に、おかえりと言ってくれたのだろうか？　俺を待っていてくれたのか？
　こういう時なんと言うのだったか？


「ただいま……」

　声に出すと、友里が出迎えてくれた実感がわき、いくら意識しても顔が歪んでしまう……


　そして、リビングを開けた。

　本当に自分の部屋だろうか？


　俺は……　この部屋に友里が暮らそうとしている事を体いっぱ感じた。それが、俺を心の底から安心させた。嬉しかった……
　彼女が、ここに居る……　俺と一緒にいてくれる……