世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「空木」
そう呼ぶ詩優の表情は真剣で、空木さんは私を引き剥がすのをやめて詩優と目を合わせる。
「何回も言うけど、俺の彼女は───────────」
「私は諦めませんよ、詩優先輩」
詩優が最後まで言うのを制する空木さん。
隣にいる彼は息を吸って。
「諦めて。俺は空木が思うようないいやつでもなんでもねぇし、お前が思ってる以上の危険なとこにいるから……
空木とは、住む世界が違う」
少し低い声でそう言った詩優。
それを聞いた空木さんは詩優を見たまま硬直。
…恐怖を感じたのだろう。
「わかったら、二度と近づくな」
詩優は最後にそう言って、歩き出す。
私も詩優にくっついたまま空木さんへと背を向けて歩く。
…これで、もう、空木さんは諦めてくれたはず。
空木と手を組んだのはたった1日だけだったけど無事に何事もなく終わって良かった……。
雨音だけが聞こえる化学室。
詩優がドアを開けると
「…危険なところにいる王子様、素敵じゃないですかっ!!!」
背後から聞こえてきたのは明るい声。