世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
ガチャっと寝室のドアが開く音が耳に届いて、顔を上げるとそこには詩優がいた。
彼の手にはドライヤー、画面が割れた私のスマホ、それから箱のティッシュと消毒液、絆創膏。
近づいてくる詩優と目を合わせることができなくて、下を向いていた。
彼はベッドの上に持ってきたものを置いてくれて、このまま行ってしまうのかと思ったら足を止め。
「傷見せて」
と言ってしゃがみ込んだ。
パジャマのズボンを捲って、言われた通りに膝の傷を見せると詩優は手当を始めた。
傷に消毒液をかけて、余分な液をティッシュで拭いて。
絆創膏を貼ってくれたらできあがり。
それまでは詩優も無言で、私もなんて言ったらいいのかわからなかった。
ただ、詩優が傷の手当をしてくれたのを見ていただけ。
ぽたり、とこぼれ落ちた雫。
涙とかじゃなくて、濡れた髪から滴り落ちたもの。
ズボンにこぼれ落ちた雫はあっという間に染み込んで。
強く唇を噛んで涙までこぼれ落ちないように必死に耐えた。