もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
ハヅキがそっと私の頬を流れる涙にキスをする。
そして両手首を解放すると、ベッドからおりて立ち上がった。
「……あーあ」
ハヅキが背を向けたまま、独り言みたいに言う。
「…最悪だね。この部屋」
「…な、何がっ…」
「もっと歯止めきくと思ってたんだけど」
ハヅキが振り向いた。
「…ねーさぁちゃん。俺はさ、もうさぁちゃんから逃げられないよ」
「…え…?」
「さぁちゃんはまるで呪いみたいだ」
私を“呪い”呼ばわりする悪魔。
悪魔にかける黒魔術なんて持ち合わせていないけど。
「い、意味、わかんな…」
「わかんなくていい。今は」
ハヅキが一瞬切なそうに顔を歪めた、のは…気のせいだっただろうか。
「でも覚えといて。
俺がさぁちゃんから逃げられないように。俺はさぁちゃんを逃がさないよ。絶対に」