もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
どれくらいそこに立ち尽くしていたんだろう。
「いつまで突っ立ってんの?」
ポン、と後ろから肩に手を置かれて、そのままゆっくり引かれ強制的に振り向かされる。
楽しげな笑顔を浮かべたハヅキが立っていた。
「ね?俺の言ってたことほんとーだったでしょ?」
「…っ、」
腹立つ。
今回、こうなったのは渓渡が浮気してたからだって分かってる。
でも、どうしてもハヅキがきっかけになったようにしか思えなくて。
ハヅキが私にあんなこと言わなければ。あんなことしなければっ…
「…楽しい?」
「え?」
小首を傾げるハヅキ。
「人の不幸見るのがそんなに楽しいっ…!?」
思い切り振り上げて、そのまま振り下ろした手は、軽々とハヅキに受け止められた。
ハヅキがクッと口角をあげる。
「楽しいよ。決まってんじゃん」