Thidori(そもそも幽霊って成仏するの?)入部編
なんだろう胸が高鳴るよ。それでわたしに謝ってくれるの?

「あの時は悪かったな、おれのせいで怪我をさしてしまった。お詫びに君の言うことを何でも聞くよ」

なんて言ってくれるのかしら。はぁ~どうしよう。舞い上がってしまうよ。なんて都合よくいくわけもなく彼はわたしの席に素通りして隣り席のまえで立ち止まった。

「なあ、お前、視力悪いよな?」

隣り男子生徒が震えながら「いえ、ぼくは別に視力悪くないです」そう言うと彼は隣りの男子生徒の座っている椅子を蹴飛ばしてもう一度同じ質問を受ける。

「はい、そいえば最近、黒板が見えにくいんでした」

そう言い、席を立って空いている前の席にそそくさと去っていった。うー。イケメンだけど恐いよ。そう思っているとフラフラしていた香りさんが戻ってきた。

「おお、綺麗な顔をした美少年じゃないか」

確かにそうなんだけれど、さっきの出来事を見てないの~と、香りさんに言いたい。
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