Thidori(そもそも幽霊って成仏するの?)入部編
二人で駅に向かって走っていると、脇道が見えた。たしか、この脇道を抜けると駅まですこしだけ近道のはず、わたしはそう思って姫ちゃんの腕を掴んだ。

「なんだ?つかれたのか?」

姫ちゃんがわたしを心配そうな顔で覗きこむ。

「ちがくて、この脇道ぬけたら近道だから」

「そうなんだ、しかし、なんだ、その、この道って」

言いにくそうに姫ちゃんは言葉を濁すからわたしははっきりと言った。

「そうだよ。ラブホ街だよ」

「バカヤロー、ご、ご、誤解されたらどうすんだよ、わたし嫌だからな、入学早々変な噂がたつのは」

ほんとこう言う無垢なところが可愛い。可愛すぎるよ。

「大丈夫だよ、女の子同士だし、ほら朝だし、他にも人が通っているし」

「わかった。そのかわり、変な噂たったら罰をあたえるからな」

罰?怖いなー。姫ちゃんこう見えて空手の有段者だからなーデコピン食らった男子がマジ泣きしてたもんな。
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