懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
亮介の瞳が間近から里帆を射抜く。逃がさないと言われているようで心が甘く疼く。
「……はい」
もちろん覚えている。何度も頭の中でリフレインしていた言葉だから。
「それじゃ、まずはお風呂で冷えた体をあたためておいで。俺があたためてやるって言いたいところだけど、このまま脱がせて風邪をひかせたくない」
〝脱がせて〟に反応した鼓動がドクンと弾む。
それを覚悟してやってきたが、亮介から宣言されると強烈に意識してしまう。
亮介は里帆を一度ぎゅっと抱きしめ、手を引いてバスルームへ案内した。
クリーム色で統一されたパウダールームは洗面台が二ヶ所もあり、大きな鏡のせいか、その分余計に広く感じる。ホテルのような仕様がとても素敵だ。
その鏡に映った自分を見てギョッとする。髪の毛は濡れ、鼻は赤鼻のトナカイのように、頬はりんご病のように真っ赤。
こんな顔で亮介に好きだと言ったのかと、愕然とした。今から巻き戻してやり直したい。