懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
隆一は資料に目を落とし、じっくりと見入った。
おそらく今後の日本では、国家のグランドデザインの五十年計画や行政の大型街づくり計画、地域の総合再開発計画などと連動・連携した商業施設開発が増加していくだろう。
それに向けての、いわば準備とも言える。
「やる気満々だな」
近頃は堅い表情ばかり見せていた隆一が、ふっと笑みをこぼした。
「当然です。子どもも産まれますから」
隅のほうに控えていた野崎が「えっ? 子ども!?」と小さくつぶやく。成島以外の社員は誰ひとり知らない情報なのだから、彼が驚くのも無理はないだろう。
里帆がそばにいて、これから子どもも産まれるのだと考えるだけで血が昂る。これまでが不真面目だったというわけではもちろんないが、仕事に対する身の入れ方が格段に違うのはたしか。
「そろそろ結婚を認めていただけませんか」
「私が認めるも認めないも、勝手にしたらいいだろう。お前もそう啖呵を切ったと記憶しているが?」