懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
そこに嘘はない。正直な気持ちだ。
「ま、里帆が喜んでくれてるのならよしとするか。ところで、健診はどうだった? なにか変ったことはなかったか? 体調は?」
亮介が矢継ぎ早に質問を重ねる。里帆の両手を取り、向かい合って顔を覗き込んだ。
「亮介さん、心配しすぎです」
「このくらい普通だ。身重の里帆を家でひとりにしてるんだから」
「ペット用の監視カメラでもつけますか?」
「それいいね」
里帆は冗談のつもりで言ったのに、亮介がパッと顔を輝かせる。
「やだ、ほんのジョークですから! 本気でつけたりしないでくださいね?」
「里帆にわからないようにこっそり仕込むってのもおもしろそうだな」
「亮介さんの意地悪!」
「アハハ。冗談だ冗談」
彼の胸をトンと叩いた里帆の手を取り、亮介が不意に引き寄せる。
「改めて。里帆、ただいま」
「おかえりなさい」