懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「あ、いえ、もう少しゆっくりしていってくださっても」
「いいのよ、里帆さん。亮介の目が〝早くふたりきりにしろ〟って言ってるから」
喜代にからかうように言われた亮介は、否定するでも肯定するでもなく憮然としていた。
「ですが……」
「大丈夫ですよ、里帆さん。あ、そうだ、連絡先を交換しませんか?」
隆一の機嫌を見計らって連絡をくれるというのだろう。
杏とメッセージアプリのIDを交換し合い、亮介とふたりを見送った。
「俺にひと言連絡入れてから来ればいいものを」
照れ隠しなのか、拗ねたように亮介が言う。
「だけど、おふたりとも素敵な方ですね」
揃って美人なうえ、優しいときている。
「外面がいいだけだ」
「そんなことないですよ。あんな方たちと家族になれるなんて、私うれしいです」