懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

「ちんくしゃで悪かったわねーだ」


彼女たちの言葉を借り、空気に向かって悪態をつく。


「誰がちんくしゃだって?」


ヒールを鳴らして副社長室へ戻る途中にうしろからかけられた声に振り返ってみれば、それは亮介だった。
おもしろそうにクククと笑い、肩を揺らしながら里帆の隣に並んで歩きだす。


「私です」
「立川さんがちんくしゃ?」
「そうみたいです」


癪には触るが、僻みだろうと思えばなんでもない。


「へぇ。だとしたらマリオスターにいる女子社員全員がそれ以下ってことか」
「なっ、なに言ってるんですか、副社長。そんなお世辞はやめてください」


社交辞令だとわかっているのに、亮介に言われたという特別感が邪魔をする。
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