たとえば、こんな人生も
……


「……迷惑をかけたり
かけられたりは当たり前だとか」


「ひとりで生きていくのに
お金がかかるのは事実だけど
この世界じゃなくても
それは解決可能な問題だとか」


「………俺としては思うことはたくさんあるけど
君の人生に口出しする権利はないからね」


思っていた通り
快い反応じゃなかったけど

それでもいつきさんは私の気持ちを汲んでくれて

ため息をついた後に、諦めるように笑った



「でも、今すぐこの世界に来るのはだめだよ
成人してからね
って、俺が言わなくても姫達が口煩く言うか」

「……あと、3年?」

「今、17歳だっけ?」

「今年で17です」

「若いなぁ
3年間で君の考えが変わることを期待するよ」



「人はきっかけがあれば
いくらだって変われるから」



小さく笑って
柔らかく付け加えられた言葉は
どこか懐かしそうで


……いつきさんも
実際にそういう経験をしたのかな


…………きっかけ…


私のこの考えや生き方を
ひっくり返すようなきっかけが
この先、現れたりするのかな


すっかりぬるくなったホットミルクを飲みながら
そんなことをぼんやり思った
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