オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
聖菜の細い腕がオレの背中に回り、強く抱き

しめ返してくれた。

「玲くん…。助けに来てくれてありがと

う…。」

こんなに近くに聖菜を感じたことなんてない

から、速まる鼓動が伝わっちゃいそうだ…。

でも、伝わっていいんだ。

「聖菜。またオレが見つけたな。」

オレの声に、必殺の上目遣いで顔を見上げ

る。無自覚でやってることくらいとっくにわ

かってるけど…破壊力がすごいな…。

「かくれんぼの時も、迷子になった時も。オ

レが見つけてやっただろ。」

柔らかな髪をそっと撫でながら、言葉を紡い

でいく。

「これからはいなくなんないように、オレが

手繋いでるから。」

小さな手をぎゅっと握り、聖菜の目をまっす

ぐ捕らえる。

オレは。オレはずっと前から…。

「聖菜が好きだ。」

やっと言えた。拙い言葉だけど。単純な言葉

だけど。

弱っちくて、嘘がつけないオレには精一杯の

告白だ。

「玲くん…。」

「怖い目に遭ったばっかりだし、返事はいら

ない。ただ、オレが伝えたかっただけだか

ら。」

聖菜の潤んだ瞳は、オレだけを見ていて、全

身の血が勢いよく巡っている感覚がした。

「帰ろうか。」

聖菜の手を引いて歩き出そうとすると。

「聖菜も玲くんのこと好きだよ…。」

「知ってる。」

そんなの知ってるよ。何年も一緒にいたんだ

から。オレは聖菜のことばかり見てきたんだ

から。
< 84 / 185 >

この作品をシェア

pagetop