オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
でも聖菜の好きとオレの好きは全然ちげぇじ

ゃん。

「わかってないよ…!」

絞り出すような聖菜の声が。オレの思考を停

止させた。

「聖菜だって玲くんと同じ好きだもんっ!」

泣きながら抱きついてくる聖菜に、少し期待

してしまう。

「オレは…。お前のこともう幼馴染として見

れないって言ってんだぞ?」

「そんなのわかってるもん…。聖菜も同じ気

持ちだよ…?」

う、嘘だろ…?

こんな展開、オレは想定してない。

いつも子供みたいな聖菜の表情が、今は少し

大人っぽく見える。

「今日も玲くんが絶対見つけてくれるって信

じてたから…。」

繋がれた手を見つめながら話す聖菜は、可愛

いというよりは綺麗で、見惚れてしまった。

オレと視線を絡ませ、その瞳から一筋の涙が

頬を伝う。

あぁ…。オレ、自分でも気づけないくらい聖

菜に惚れてたんだな。

「オレと付き合ってください。」

ありきたりな言葉だけど、聖菜だけに伝われ

ばいいから。

「よろしくお願いします。」

愛しい声が出した返事も、定型文のような答

えだけど、今のオレには世界一甘い言葉に聞

こえた。

華奢な体をもう一度抱きしめて、オレは二度

と離さないと誓った。

「聖菜の手、離さないでね。」

耳元で可愛くねだる聖菜は、ほんとずるい。

だけど、そんな彼女をより強く抱きしめてし

まうのは、惚れた弱みってやつなんだろう。
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