上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
〝自分が損する〟かあ……
そんな考え方は、したことがなかった。

私は〝あれ〟以来、人と深く付き合うことに慎重になるばかりだし、見せたくないことは必死で隠すばかりだった。

「なんか……すみません。正直、川北さんのことをこんなにすごい人だって、わかってなかったです。さっきの言葉、すごく……ためになります」

「これまで詮索好きの先輩とでも思ってたんでしょ?」

返す言葉もございません。まさしくその通りですとは、口が裂けても言えない。

ふと、もの静かなオネエ……じゃなくて、三上さんに気付いて、様子を窺った。


あっ……婚約者の話が本当なら、今私達がしている話って、三上さんにとってもダメージというかなんというか……
だって、これまでずっと偽った姿を見せてきたってことは、まだ婚約者とのことを引きずっているからなのかも……

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