上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
それから三上さんは、3杯目のビールを数口飲むと、淡々と話し始めた。

「4、5年ぐらい前になるかなあ……俺さあ、今と違ってバリバリ仕事してたんだよ。営業課でさあ、エースなんて言われて。そん時付き合ってたやつがいて、任されていた大きな仕事が終わったら、結婚しようと思ってた」

三上さんの方から、実際に〝結婚〟という言葉が飛び出して、なんだか胸がズキズキと痛んだ。

「相手に結婚の意思をはっきりとは言ってなかったけど、それなりに匂わせていたし、ちょこちょこ、結婚したら……なんて話も出てて、相手もそのつもりでいたんだ。まあ、と思うっていう認識だけど。俺は、てっきり信じて待っていてくれていると思っていた。
けどさあ……俺が仕事で忙しくしていた時に、あいつ、浮気してたんだ。しかも、俺の親友だったやつと。もちろん、俺達が付き合っているのも知った上で」

なんだろう……
淡々と語っているのに、三上さんが涙を流しているような気がする。〝もういいよ〟って止めてあげたい反面、でも、三上さんの過去の話が気になってしまうのも事実で、私は黙って聞いていた。

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