上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「俺は、婚約者と親友を、同時に失ったんだ。情けないだろ」

「な、情けなくなんてないです」

おもわず大きな声で否定していた。私らしくない言動に、三上さんも川北さんも驚いていた。

三上さんは、ふっと目元を緩めると話を続けた。

「ありがとう、羽場ちゃん。
大事な2人を失った時、誰のことも信じられなくなった。自暴自棄になって、仕事もどうでもよくなってた。周りも事情を知っていたし、最初は俺に気を遣ってた。
でも、いつまでもそうしている俺に、次第に失望したり、見切ったりされていった。まあ、あたりまえだけど。
俺はその時、誰も信用できないし、誰からも信頼されない人間になってた。
そんな俺を見かねた今の課の部長が、拾ってくれたんだ。何があっても、生きていかなくてはいけないのにはかわりない。仕事をしようって」

再びビールに口をつけて、話を続けた。

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