上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「さあ、行きますか」

翌朝、意を決して電車に乗り込んだ。久しぶりの帰省に気が気じゃない私は、いつもより早く目覚めてしまうし、とにかく落ち着かない。

「久しぶりに哲平さんと恵さんに会えるの、楽しみだわ」

「明日香は余裕でいいよね」

「何をそんなにソワソワしてるのよ」

「だって、まずはお小言から始まるのよ。勘弁して欲しい」

お小言……内容は確かにお小言だけど、なんせ元気すぎる両親だ。聞いているこっちとしては、お小言どころの迫力ではない。

「まあ、そこは耐えなさい!!向こうではおばあちゃん達にも会うんでしょ?あっ、しおりの友人は?」

「私からは特に連絡してないけど……」

「ふうん。会えないかなあ?で、夜は飲み会でしょ?翌日は起きれなくなりそうね」

普通に言ってくれるな……私は後片付けやらお世話やらで、大変なんだから。

「日曜の夕方には、こっちに帰ってきたいわね」

「そうだね。そこだけはしつこく言っておかないと、もう一泊なんて言い出しかねないから」

浮き足立つ明日香と、ため息混じりの私。
一分一秒でも帰省を遅らせたいという私の思いを他所に、着々と地元が近づいてきた。





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