上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「ただいま」
「こんにちは」

ああ……落ち着きのない足音が、玄関まで響いてくる。奥の部屋から、恵さんが駆けてきた。

「やっときたか。娘の顔を忘れるとこだったわ」

「ご、ごめんなさい」

いきなりジャブですか……

「おっ、明日香も久しぶり。上がってよ」

「おじゃまします」

靴を脱いでいると、重い足音が聞こえてくる。哲平さんだ。

「おお、明日香。声はよく聞いてるけど、会うのは久しぶりだな」

「あはは。そうですね。招待してくれて、ありがとう」

いつのまに……こんなにフランクに話す仲になってたのね。

「遠慮せずに上がってくれ。で、そこのちびすけ!」

「は、はい。ご無沙汰しております」

こ、怖い。すっごく睨まれてるんですけど……

「ふん。まあ、上がれ。話はそれからだ」

3人に続いて、すごすごとリビングへ向かった。一応、久しぶりに帰省した娘をもてなしてはくれるようで、恵さんがお茶を出してくれた。

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