上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
は?
おもわず、運転する涼介さんの横顔に目を向けた。

えっと……なんとなく耳が赤いし、気まずそうな顔をしてるんだけど。もしかして、照れてる?

「今、あんまりこっち見ないで。俺だって、嫉妬の一つや二つする。しおりが昔好きだった奴なんだから、気になる」

「なっ……そんなこと言ったら、涼介さんなんて婚約までしてたんですよ。私、それを聞いてすごくショックだったんですから」

さっきまで照れていた涼介さんが、ニヤリと悪い笑みを浮かべた。
私、何か言った?

「しおり、ずいぶん前から、俺のことを好きでいてくれたんだな」

あっ……
婚約者の話を聞いたのはいつだったか……

それなりに前だ。
は、恥ずかしすぎる。
今度は、私が真っ赤になる番。

「まあ、でもそうだよなあ……お互い様だな。過去は変えられるものじゃないし。それに、お互い未練もないなら、考えなくてもいいな」

「そうですね」

「俺は、今もこれからも、しおりだけだから」

ストレートな物言いに、胸がドキンと跳ねる。〝これからも〟って、涼介さんとの未来がずっと続くって約束されたみたいで、幸せな気持ちでいっぱいになる。

「私も。今もこれからも、涼介さんだけです」

「ありがとう」


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