上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
なんだか不思議な気持ちだった。少し前まで、不真面目で毛嫌いしていた上司だったのに、今は想いを通じ合った恋人だなんて。


「しおり。会社では今まで通りだけど、週末はこうやって一緒にすごして、今よりもっと、しおりに近付きたい。いいか?」

「はい」

そんなの、なんの異論もない。
涼介さんとどうこうなるつもりもないなんで思ってたのは、私の強がりだ。私は自分が思っていた以上にこの人のことが好きみたいだ。



私のマンションの来客用スペースに車を停めると、涼介さんが私を見つめた。
自然と近づく顔に、私はそっと目を閉じる。
触れるだけのキスをすると、涼介さんは優しく抱きしめてくれた。

「しおりが、俺だから話しても受け入れてくれるって言ってくれて、嬉しかった。人に信頼されるって……いいもんだな」

「涼介さん……私も、信頼できる人ができて、嬉しいですよ」

抱きしめていた腕を解くと、私の額に自分の額をコツンと合わせた。その距離の近さに、ドキドキする。
恥ずかしいと思っているはずなのに、不思議と目を逸らすことはしたくなくて、じっと見つめていた。

< 210 / 286 >

この作品をシェア

pagetop