上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「ただいま」

買い物を終えてもどると、すっかりくつろいだ様子の涼介さんがいた。大丈夫だったかと目で尋ねると、笑顔でうなずき返してくれて、ホッとした。

「哲平、夜は鍋にするからね」

「おう。頼んだ。しおり、手伝う前にこっちに来い」

「うん。なんだった?」

哲平さんに促されて、涼介さんの横に座る。

「涼介は、信頼のおけるいい奴だ。だから、何があっても信じてついていけ」

「うん」

「籍入れるのは、2人のタイミングに任せる。報告さえしてくれればいい。式はどうするか、涼介の両親とも相談して決めろ」

「うん。ありがとう……?」

認めてくれたのは嬉しいけど……なんだろう?なんか、言い回しが変というか……いつもよりちょっと構えた感じの哲平さんの雰囲気が気になる。
けれど、それがどうしてかは話してもらえなさそうだ。


それから父方、母方の祖父母も合流して、涼介さんを紹介しながら一緒に食事を楽しんだ。みんな唯一の孫である、私の結婚を喜んでくれて安心した。

祖父母が帰ってからも、4人で飲んでいた。涼介さんもすっかり実家に馴染んでいて、こうやって家族になっていくんだなあと、温かい気持ちになった。


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