上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「お父さん、大丈夫なの?」

「あのぐらいの歳の人なら、誰でもどこかしらガタが出るものだ。命にかかわる大病ってわけじゃない。
後継と言われても、元から俺にはそんな気がなかった。おまけに、しおりも知っての通り、ここ数年は見られた勤務態度じゃなかった。
それが、最近前向きに取り組み始めた途端、結果もそれなりについてきて、それを見た親父が、将来は会社を任せたいと言い出したんだ」

「えっと……ということは、いずれ涼介さんは社長になるってこと?」

「ああ。すぐってわけじゃないけど。これまで断ってたけど、いろいろと考えて、その話を受けることにした」

いろいろって……

涼介さんが社長の息子だってことにまず驚いた。けど、彼の仕事が認められて出世するなら、それは喜ばしいことだ。

「……おめでとうございます……で、いいのかな……認められたってことだもんね」

「一応ね」



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