上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
社長に挨拶をしてからの涼介さんの行動は速かった。
予定通り定時に上がるように片付けていると、時間ぴったりに涼介さんがやってきた。そのまま私に待つように言うと、部長の元へ向かって行く。どうやらこの時、これから入籍することを伝え、明日の朝礼で公表することを話したようだ。

そのまま2人で婚姻届を出しに行き、問題なく受理されて、晴れて夫婦となった私達。まあ、実感はイマイチわかなかったけど。

その週末には、東京で両家の顔合わせをすることになった。涼介さんのご両親はスーツ姿だったのに対し、哲平さんと恵さんは、デニムでこそなかったものの、少しかしこまったという程度の私服。恵さんはかしこまって見えるワンピースを着ていたものの、髪は明る目なまま。両親なりに気を遣ってくれたのは嬉しかった。

あれほど心配していた顔合わせだったけど、拍子抜けするぐらい穏やかなものだった。
いや、穏やかというより……いい意味で賑やかだった。


< 272 / 286 >

この作品をシェア

pagetop