上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「こら、待ちなさい!」

待ってたまるか。どうせ、ろくなこと聞かれないんだから。
スタスタと自席を目指すと、川北さんも追いかけてきた。

「ちょっと、羽場さん。哲平さんって誰なのよ?」

オフィス内で大きな声で言ってくれるな……

「別に、言うほどの人物では……」

自席に座りながら、はぐらかして答える。

「怪しい!なんでそんなに言い淀むのよ?」

「いや、言い淀んでなんていませんよ」

もごもご答えていると、隣で伏せていた三上さんが、むくりと起きて目を擦り出した。

「何?哲平さんって?」

「あっ、三上さん、聞いてくださいよ。さっき、羽場さんったら、仲良しの同期の子に〝哲平さんが電話ぐらいしろって言ってたわよ〟とかなんとか言われてたんですよ!!」

「……ふうん。彼氏?」

「だから、彼氏なんていないって、言ってるじゃないですか」

「本当のこと言ってるかどうかなんて、わからないわ。ねえ、どういう人なの?」


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