上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
私の話をじっと聞いていた三上さんは、少しするとふっと目元の力を抜いた。そしてまた、温かい目にもどっていた。

「ありがとう。こんな俺でも、まだ信じてくれる人がいたんだな」

三上さんの小さな呟きに、胸が締め付けられた。

〝まだ信じてくれる人〟って……
三上さんには、他人から信じてもらえなかった過去があるんだろうか……?

ふと、昼間に聞いた男性社員の話を思い出した。

〝村上さんのとのこと〟

三上さんが変わってしまったきっかけとなった人物。どこの誰なのかは全くわからないけれど、なぜか確信した。
三上さん、その村上さんという人によって、深く傷つけられたんじゃないか。それは、誰にも信じてもらえなくてもいいって思えるぐらい、三上さんを変えてしまうような大きな出来事だったに違いない。

「事実が全てです。私は自分の目で見たことを信じますよ」

大したことはできないけれど、やっぱり今自分のできることで、三上さんを元気付けたいと思う。

「羽場ちゃんはいい子だね。よし、そろそろ片付けて行こう」


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