上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
上司の過去
週末を挟んだぐらいで、三上さんの抱擁の衝撃は消えきらない。どんな顔をして出社しろというの……?
頭を抱えたくなるけれど、休むわけにもいかず、やっぱりいつも通りの時間に家を出た。


「しおり、おはよう」

「明日香!!おはよう。駅で一緒になるなんて、珍しいね」

会社の最寄駅の改札を出た所で、同期の明日香に捕まった。

「ねえ。それより、今日のお昼は、一緒に出られる?」

「大丈夫なはずだよ」

「そう。じゃあ決まりね。エントランスに集合で」

「了解」

話がまとまったと思いきや、明日香は私の耳元に口を寄せて、小声で囁いた。

「三上さんのこと、少し聞いたわよ」

「えっ?」

何かを企んでいるような表情で、ニヤリとして私を見る明日香。

「これはねぇ、聞く価値大アリよ。しおりにとってはね」

「どういうこと?」

「ランチタイムまでのお楽しみよ」

「もう、気になるじゃない」

「ほうほう。やっぱり気になるのかい?」

「やっ、ちょっと、変なふうに捉えないでよ」

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