上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「ど、どうしよう……」

「うん?どうしようって、恵さんと哲平さんと、おじいちゃん、おばあちゃんが遊びに来るぐらいいいじゃない。観光案内なら、私も付き合うし」

「そうじゃないの!!一家総出じゃなくて、一族総出って言ったんでしょ?ということは、両親とそのお仲間ってことなのよ!!」

あの人達の団結力は侮れない……

「えっ?あぁ……うん。そうか。でもまあ、いいんじゃない?楽しそうじゃないの」

「明日香は他人事だから言えるのよ。私が一人暮らしを決めて、初めてこっちに来た時も、一族総出で来られて凄かったんだから……幸い、まだこっちに知り合いがいなかったから、その時だけ我慢してればよかったけど。でも、今は違うの!!もしあのご一行様を知り合いに見られたら……またあの時の繰り返しじゃない……」

「しおり……」

明日香は、学生の頃に私が深く傷付いたことを知っている。そのせいか、顔を歪めていた。


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