上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「でもさあ、別に悪いことをしてる人達じゃないんだよ?しおりの知り合いを見て去っていくような人達は、深く向き合うまでの人じゃなかったってことじゃない?相手のことを知りもしないくせに、見た目だけで決めつけて、なんやかんや言ってくる人と親しくするなんて、こっちから願い下げよ」

明日香の言っていることは正論だと思う。でも、その正論を振りかざした結果、信じてた人達を失ってしまったこともまた事実だ。

俯きながら、会社のエントランスを歩く。

「明日香の言ってることは、私もその通りだと思う。そう言って堂々とできたら、自分ももっと楽なのにって思う。でも、あの時のショックがどうしても忘れられなくて」

心の傷は、今でも残っている。

「しおりがプライベートと仕事をきっちりわけたり、あまり人と深く付き合おうとしないのも、それが原因なんでしょう?一生独りでいるつもりなの?」

「それは……」


「おっ、羽場ちゃん!と……」

突然の呼びかけに驚いて振り向くと、三上さんがエントランスを入ってくるところだった。

「同期の山崎明日香です」

「ああ、山崎さんもおはよう。……てか羽場ちゃんどうしたの?」

よほどひどい顔をしていたのか、三上さんがこちらの表情を窺ってくる。

「いいえ、なんでもありません」

「しおり、じゃあ私は先に行くわね。またお昼に」

「うん」

明日香は三上さんに軽く頭を下げると、私に小さく手を振って去っていった。

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