初めての to be continued…
10. 雄大
 正直言って、凄く興奮している。
 色白な芳子さんは、風呂上がりにはうっすらピンク色の肌になって、やたらと色っぽい。
 シンプルな前開きパジャマは、ちょっと子どもっぽく見えて、可愛い。
 コップにかこつけて握った手は、小さくてやわらかくて気持ちいい。
 抱きしめたら俺と同じ匂いがした。
 嬉しいと素直に伝えたら、笑ってくれた。
 この笑顔を守りたい。

「……怖くないですか?」
 様子を窺いながら聞いてみた。

 これ以上、少しでも進んだら、今度こそもう止まれない。その前に。

「怖くはないけど……緊張してる……」
 怖くないのは嬉しいけど、緊張はどうやってほぐそうか。

 でも、緊張は、俺もしている。
 同じ気持ちを伝えたら、少しはマシになるだろうか。

「俺も、緊張してますよ」
 正直に言ってみる。
「経験豊富って訳じゃないんで。なにせ大学入ってから芳子さん一筋ですから」
「あ……」
 思い出した、という顔。
「そっか」
 そう言って、はにかんで目を伏せる。
 ちょっとは緊張ほぐれたかな。

「芳子さん」

 決意を持って、名前を呼ぶ。
 絶対に、大切にする。

「……好き」
 俺の顔をじっと見ていた芳子さんが言った。
 ささやきに近い声。心から漏れ出てきたみたいだ。
 嬉しくなる。
「俺も。大好きです」

 そして、唇を重ね合わせた。



< 29 / 33 >

この作品をシェア

pagetop