隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
朝桐が関わると、どうにも調子が狂わされる。



前だってそうだ。



トイレの事件の時だって、勝手に身体が動いていた。



関わらない方がいいに決まってる。

それなのに、朝桐に深く関わってしまった。



……なんなんだ、この気持ちは。



女なんて、全員一緒だ。

全員、偽善者ばかりだ。

……そう思っていたのに。



最近は、朝桐を見ていると、あいつだけは違う気がしていた。



いつも鬱陶しいくらい話しかけてきて、いつもヘラヘラ呑気に笑って。

……俺のことを友達だなんて言って。



一緒にいて嫌などころか、本当は……。



本当は、俺自身気づいているのかもしれない。



気づいていて、気づかないフリをしているだけなのかもしれない。



そうした方が楽だから。

気づかないままの方が無難に生きられるから。



俺は……自分の気持ちから逃げているだけなのかもな。
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