エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
とはいえ、この生活がいつまで続けられるかわからない。
もしかしたら結局思い出せず、いつか離れなければならなくなるときが来るかもしれない。
それを考えると、幸福にどっぷりつかってしまうことが怖くもある。
けれども、そのときが来るまでは、離れたくないと心が叫んでいる。
それからどれくらい抱きあっていただろう。
彼は長い抱擁から私を解放して、もう一度まっすぐな視線を送ってくる。
「ありがとう」
「いえ……」
なんだか照れくさくて顔を伏せた。
再び車に乗り込み、次は『エール・ダンジュ』という洋菓子店に足を伸ばした。
この店は全国からケーキを食べに来る人がいるような人気店で、私も大好きだったのだ。
午前中は比較的空いているので、よく彼と食べに来た。
と言っても並ばずに入れたことはなく、特別甘い物が好きなわけではない宏希さんを付き合わせることにためらいはあったものの、彼は嫌な顔ひとつ見せなかった。